私たちの研究室では、固体ナノ構造を用いた新規物理現象の研究、新材料、デバイスの創製を行っています。

固体ナノ構造中の電子物性解明と固体ナノ構造デバイスの研究

多機能で省電力な高性能エレクトロニクスデバイス応用等に向けて、固体ナノ構造中の特異な局所電子状態の解明、操作手法の確立が重要となっています。これまで独自に開発を進めてきた高速ミクロプローブは、優れた性能を持ち、固体ナノ構造中の局所電子状態を局所的に高エネルギー分解能で低擾乱、かつ高速に測定できます。


これらの特性を活かし、従来の測定手法では調べられなかった固体ナノ構造中の繊細な局所電子状態、またその空間分布、ダイナミクス等を測定し固体ナノ構造中の電子物性をミクロな観点から解明します。またここで得られる知見を活かして、固体ナノ構造の特性を活用した高機能で高効率な次世代エレクトロニクスデバイス等の研究を進めます。

固体ナノ構造を用いた量子デバイス・システムの研究

従来からの古典的な情報処理が限界を迎える中、古典系とは異なる物理法則に従う量子系を活用した情報処理等が、現状のCMOSエレクトロニクスの限界を超えていく候補として近年注目を集めています。この中で、デバイスサイズが小さく大規模な集積化が原理的に可能で、究極的な量子状態保持時間も非常に長いと予想される半導体量子ドット中の電子スピンを用いた量子デバイス等は重要な候補となっています。


そこで半導体量子ドットを用いた量子ビットデバイス等による有用な量子アルゴリズム、量子シミュレーションの実現に向けて、これまで行ってきた量子ゲート操作の更なる高精度化、量子システムのスケールアップを推進します。実行可能量子ゲート数、量子ビット数を向上させ、有用な量子アルゴリズム、量子シミュレーション、量子通信の実現等を目指し、将来の量子情報処理・通信につながる基礎学理、デバイス・システム技術を研究します。

材料、デバイス科学とデータ科学手法の融合による効率的開発基盤技術の研究

情報技術の発展により、大量かつ複雑な測定データから、データの持つ意味や新しい知識を引き出す技術が大幅に進展し、機械学習や人工知能技術が注目を集めています。新材料、デバイス開発においても、このデータ科学的手法を導入することで、これまでにない新しい知識を獲得し、大きなブレークスルーをもたらすことが期待されます。


そこで私たちは独自の高速ミクロプローブ等による固体微細材料分析や大規模量子デバイス・システム等におけるパラメータ最適化などについて、ベイズ最適化、機械学習等の技術を導入し、効率的開発基盤技術の構築を行います。


データベースプロジェクト